311被災地視察研修 今夏3回目実施

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ーコロナ対策万全に、東日本大震災の学校現場の知見と備えの徹底を防災教育の実践に生かすー

宮城教育大学は8月11-14日、南海トラフ地震等の全国の災害警戒地域の教職員を対象に、東日本大震災の知見を学ぶ「311いのちを守る被災地視察研修」を実施しました。

2019年4月に発足した「防災教育研修機構」(通称・311いのちを守る教育研修機構)による取り組みで、同年8月、2020年8月に続き3回目になります。

3月、8月の年2回定期開催企画ですが、昨年3月と今年3月は新型コロナウイルス感染拡大を受け、中止になりました。今回の研修は3月研修からのスライド参加を優先して参加を受け付け、実施。コロナ禍拡大で直前に10人以上のキャンセルが出ましたが、2週間前からの健康チェック、移動中・宿泊先の感染対策徹底を確認し、最終的に全国から小中高校、特別支援学校の校長、教頭、教諭、市教委指導主事ら21人のほか、同行取材する報道関係者4人の参加を得て、予定通り3泊4日の日程で被災地を巡りました。

視察先、研修内容はこれまでとほぼ同じです。三陸沿岸特有のやませによる時ならぬ寒さと風雨に見舞われましたが、岩手県釜石市鵜住居地区、宮城県南三陸小戸倉地区、石巻市大川小跡地など被災した学校跡などを巡りながら、当時の校長や遺族らから話を聴き、ワークショップなどで学校現場の災害対応の教訓、「ともに生き抜く力」を育む教育の要点を共有しました。終了後のアンケートでは、全員が「期待以上だった」「期待通りだった」と答え、成果を所属先や地域に伝える役割を誓いました。

宮城教育大学は、東日本大震災の伝承と啓発による防災教育の発信強化を責務と捉えており、震災10年の節目を重視して被災地視察研修に取り組んでいます。コロナ禍の影響は続きますが、311被災地視察研修は今後も年2回、定期開催する方針です。来年3月は3月26日(土)-29日(火)の予定です。開催が近づきましたらご案内します。多くの教職員の参加、派遣を期待しています。

【概要報告】

  • 日程

・令和3年8月11日(水)-14日(土) 3泊4日

・詳細日程は、21年8月日程表の通り

・参加費等の案内文書は、2021年8月の通り

  • 参加者概要

・沖縄県、熊本県2人、宮崎県、兵庫県4人、和歌山県2人、岐阜県、愛知県3人、東京都2人、千葉県、埼玉県2人、宮城県、北海道

・小中高校、特別支援学校の校長、教頭、教諭、市教委の指導主事ら21人

・ほかに同行取材として計4人(高知新聞2人、中日新聞1人、毎日新聞1人)

  • コロナ対策

コロナ禍対応・実施中止判断の通り

  • 同行取材で掲載された記事

毎日新聞朝刊「教育の森」㊤2021.9.6と㊦9.20

中日新聞記事2021.9.1三重版

高知新聞・地震新聞2021.8..18

  • 主な視察地と寄せられた感想(視察順)

【気仙沼市】波路上・杉ノ下地区の慰霊碑、気仙沼向洋高校震災遺構・伝承館

 

・指定避難所に逃げ込んだ住民ら93人が犠牲になった現場を遺族の案内で視察

・校舎4階まで津波に襲われた旧高校校舎の遺構を語り部の案内で視察

「杉ノ下地区のように、指定避難場所になっているところが被災しているのが、私たちの防災を考える上で非常に興味深かった。小野寺さんのお話が、心に残った」

「小野寺さんの「いつになったら学ぶんだろう」この言葉は強烈だった。語部をしていく小野寺さんの決意と覚悟。信じて疑わなかったこと。佐藤館長の自責の念と決意。向洋高校校庭の変わり果てた残念なゴルフ場。記録映像1週間後の卒業式での答辞で述べられた覚悟」

【釜石市鵜住居地区】いのちをつなぐ未来館、旧釜石東中・鵜住居小からの避難経路

  

・避難した住民160人近くが犠牲になった旧防災センター跡地の「未来館」と慰霊碑視察

・600人の児童生徒が無事に避難した避難経路を当時の2年生の語り部の案内で視察

・語り部と1時間半にわたり意見交換

「釜石の奇跡と呼ばれる鵜住居地区の震災当時の様子が分かり、その裏側にあるものまで知れた。また、実際に避難経路体験ができ、川崎さんの語り部としての使命感を強烈に感じました」

「釜石東中学校の生徒だった川崎さんは,言葉では語り尽くせない経験をされているにもかかわらず,前を向いて歩まれているような気がした。彼女の姿と語りが印象に残った。そして同時に,震災から10年という年月を感じるとともに,変化も感じた」

「釜石は多くの命が救われたことで有名だが、一方で防災センターの負の教訓も知ることができた」

【南三陸町】旧戸倉小学校・戸倉中学校

  

・児童90人が高台に避難して無事だった小学校の判断と経路を当時の校長の案内で視察

・1時間にわたり、意見交換

「麻生川先生が同僚教員の意見を尊重し避難場所を高台に設定したこと、震災2日前の地震から学び震災前日に迅速な決断で避難訓練を行ったこと、同僚の先生を家に帰してしまった後悔など、我々が伝承すべき内容が数多くあった」

「あれだけ高台にある中学校であっても、海からだけでなく山からも津波が来て、あっという間に飲み込まれるという話を現場で聞くのは本当に衝撃的であった。また小学校での当時の校長先生のお話しを聞きながら当時の状況を疑似体験できたことも大変印象に残っている」

【石巻市】旧大川小跡地

  

・児童教員84人が犠牲になった学校跡地を、娘が犠牲になった元中学教師の案内で視察

・1時間半にわたり、意見交換

「命を守るのは防災教育ではなく、学校におけるすべての教育である、など、これからの私たちが学校に伝えていく、準備を進めていくために必要な言葉をたくさんお聞きすることができた」

「悲しい場所でなく、未来を開く現場にしてほしい。との佐藤さんの言葉に教職としての責務を感じた」

【石巻市】旧門脇小の跡地(震災遺構として整備中)と避難先の日和山を視察

  

・当時の校長の案内で避難の様子を視察

・1時間にわたった意見交換

「校長の判断力と行動力を深く考えた。学校での有事の際に、管理職の判断と指示力は命を守る大きなポイントになることを体現した避難だった。管理職に日頃から判断力を身につけるための情報共有や研修体制の確立など、業務多忙な学校現場においても自然と体制作りを促せるような発信をする必要がある」

「児童に自分で考え判断し行動する力は、避難訓練だけでなく日頃の授業の中でしっかり身に着けさせることが大事。日頃の授業を充実させるためにも教職員は、日々の教材研究、探究的な学びのある授業つくり等、授業改善を常に行うことが大事であることを学んだ」

【宮城教育大学】震災時の避難所運営

・石巻西高校の元校長が避難所対応経験を元に避難所ワークショップの実際を講話

「防災教育の大切さを、子どもを育てる観点から気が付かせていただきました」

「ウェビングの考え方、児童・生徒、教員の役割の表し方が印象的」

「「生かされて生きる」のラジオ番組でも大変勉強になる話しが聞けた。「災間を生きる」「縁助」「PTG」「成解」「忘己利他」という言葉も大変興味深かった」

【仙台市】荒浜小震災遺構

・宮城県内で初めて公開された震災遺構の小学校と居住不可になった被災地域を視察

「遺構であり避難所でもあるという残し方が印象的だった」

●総括ワークショップの様子と事後寄せられたリポート(一部抜粋・構成)

■中学校教諭

「今回、自分自身の足で災害が起こった場所に立ち、話をきいたり遺構や資料をみたりすることで、災害をより強く自分事としてとらえ、これからの防災教育を豊かにしていくことの必要性を実感した。自分自身が触れた感覚をそのままの熱量で、生徒をはじめ周りの人々に伝えていくことが、本研修を受けた自分にできることだと考える。防災学習や避難訓練だけでなく、日常の学習や生活が命を守ることにつながるのだということを伝えていきたい。

本研修で刺激を受け、よりいっそう防災教育の充実の必要性を感じた。学校での活動や授業を通して命の大切さや、命を輝かせることを考え、災害から命を守る行動のできる人の心を育てていきたいと考える」

■高校校長

「今回訪れたところは学ぶべきところが多く、特に津波の恐ろしさを伝えるだけではなく、避難がうまくいって生き残れた成功例と、避難がうまくいかなくて多くの人が犠牲になった失敗例がきちんと伝えられており、若い人たちが当時のことを伝えるべく語り部として生き生き活動している姿は、まさにこれからの防災教育が求める姿だと感じた。未災地の若者たちだからこそ、将来起こるかもしれない災害にどう準備するのか、考えるヒントをたくさん今回の研修で得ることができた。生徒たちに避難訓練や防災訓練をどのように実施したらより効果的か、避難所を運営するとしたらどのようなことに気をつけることが必要か考えさせることで、人としての生き方を知ることにも、いのちと向き合うことにもなり、そのことで、生きていることが当たり前ではなく、人は自然との関わり合いの中で生かされて生きていることをしっかり認識することができると痛感した」

■小学校教諭

「避難所へと走り、さらに高い避難所へと移動を判断した釜石東中学校、屋上ではなく、裏に神社へ避難した戸倉小学校、その場にとどまり、山へ逃げない判断をした大川小学校、運動場からすぐに高台に避難をした門脇小学校など、今、結果としてどうだったかはわかるが、その場の教師たちにとっては、いくつかの葛藤の中で出した判断だったことが分かる。いざというときの判断が、子どもたちの命を守ることにつながる。その判断をするのは、校長・教頭であるが、日ごろから、職員どうしが、話し合える集団になっていることが、非常に大切なことだと感じた。さらに、児童生徒が主体的に行動した例をいくつかうかがった。日ごろから自分ごととして子どもたちが学んでいたことが、命を守ることにもつながった。 東日本大震災の際、今回訪問した学校を始め、どの現場でも、それぞれが判断し行動した。そこでの教訓をわたしたちは、共有し、同じような災害が起こったときに、生かしていかなければいけない。今回の訪問で真実を語ってくれた方々の声は、ぜひ今後も引き継いでいくべきものである。今回の研修で学んだことを今後の防災教育に生かしていきたい」

■市教委指導主事

「改めて「命の重さ」を考える機会となり、特に大川小学校での佐藤氏の話は心に残りました。深い悲しみを抱きながらも、私たちに「命」について語っていただくその姿に「防災教育=命の教育」という事を、その思いを、私たちの地域の学校現場にいかに伝えていくかが、今回研修に参加した私たちの使命であるようにも思います。さらに防災教育という特別なことを行うのではなく、学校におけるすべての教育活動が防災教育にもつながっていくという事も併せて伝えていきたいと思います。今回の研修を通して自分の目で見て、肌で感じ、被災者の皆様の思いに触れることができたことは貴重な経験となり、市の防災教育に活かさなければならないと考えております。今回の研修を通して、「命の重さ」「学校の責任」「自然の脅威と人間の強さ」等を改めて考える機会となりました。本市の子どもたちや先生方に今回学んだことを伝えながら、防災教育の充実を図っていきたいと考えます」

■小学校教諭

「研修に参加するまでは、訪れたことのなかった被災地のことはなんとなく報道で見聞きをし、人から話を聞いていただけのところがあった。しかし、その場に立ち、語り部さんの言葉をきき、何があったか、なぜそのようなことが起きたのか直接自分で聞くことで、想像し、より深く考えることができた。言葉では表すことが難しいが、そこに立たないとわいてこない感情があるように思う。報道ではなかなか知ることが難しい、東日本大震災の時の想い、10年が経過した今でも思うことを話してくれ、やはり話を直接きくこと、その場に立つことが大切だと感じた。語り部さんたちの穏やかな話し方の中にも信念があり、想いがすごく伝わってきた。今回聞いたこと、感じたことを自分なりに解釈をしてそれを子ども達に伝えていかなければならない。今まで子ども達に伝えてきたことは、こういう災害がありどうなったか、だからどうしていけばいいか、という話し方だった。しかし、もっと想像させること、自分事として捉えられるように伝えなければ、伝え方話し方を変えなければ子どもたちには伝わらないと感じた。「ただいま」と家族や自分の大切な人たちに言えるよう、自分の命は自分で守ることができる子ども達を育てていきたい。また、私自身は発災時の対応だけではなく、その後の寄り添い方や心のケアについてももっと勉強していく必要があると思った」

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